瀬川くんのジャージ
を返す
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まだ入学式の翌日、がやがやと賑わっている1年A組の教室に足を踏み入れる。
「おはよう」と声をかけられ、「おはよう」と返すのを自分の席まで繰り返す。
まだ名前も覚えきれていなくて、少し固い笑顔になる。
ふう、と窓側の後ろから2番目の席に座ると大事に持ってきた袋を覗く。
…瀬川くんのジャージ。
朝はもうすぐホームルームの時間になるし、昼休みにゆっくり探そうと思ったところで…。
「はよー!!」「おはよ」
と元気な声と眠そうな声。
そして。
「瀬川兄弟、おはようー!!」
「時間ギリギリだぞ」
「今日もそっくりだな!」
と男子たちの声が次々と聞こえる。