瀬川くんのジャージ

を返す


――――

まだ入学式の翌日、がやがやと賑わっている1年A組の教室に足を踏み入れる。


「おはよう」と声をかけられ、「おはよう」と返すのを自分の席まで繰り返す。

まだ名前も覚えきれていなくて、少し固い笑顔になる。



ふう、と窓側の後ろから2番目の席に座ると大事に持ってきた袋を覗く。

…瀬川くんのジャージ。


朝はもうすぐホームルームの時間になるし、昼休みにゆっくり探そうと思ったところで…。




「はよー!!」「おはよ」

と元気な声と眠そうな声。


そして。


「瀬川兄弟、おはようー!!」
「時間ギリギリだぞ」
「今日もそっくりだな!」


と男子たちの声が次々と聞こえる。

< 7 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop