瀬川くんのジャージ
えっ……と扉のほうを見ると。
あの、ジャージを貸してくれた瀬川くんが。
……ふたりいた。
それぞれ真ん中あたりの席に前後で座り、前の瀬川くんは後ろの瀬川くんに話しかけ、後ろの瀬川くんは顔を伏せて、眠そうにしている。
ああ、750人よりは簡単だけど。
これはこれで、困ってしまった。
私はどっちの瀬川くんに借りたのだろうかと。
間違えたら失礼だ。
そっくりとはいえ、別人なわけだし。
見ただけでも性格は違うみたい。