幼 馴 染 、
双子
「僕らは、ずっと一緒がいいね」
ある日、映画を見ていたら
ポツリと呟いた。
ギュ、と握っている手に力をこめて
映画を見ていたはずの視線は此方を見ていた。
「ん、そうだねー?どうしたの?」
「だって、僕、こんな風にバラバラになりたくない」
その映画は、双子は不吉とされていた古い家で
1人は、分家で、もう1人は本家で。
双子だと言うことは知らされないで
一生生きて、やっと逢えたかと思えば
1人は不治の病でなくなる。
簡単に言えばそんなお話。
実際あったお話をリメイクして放送したらしい。
「うん、凛も、嫌だなあ」
「僕、凛とは絶対離れないからね?」
「えー、黎は寂しがりやさんだねえ」
「――そういうのじゃないよー」
じゃあ、どういうの?と尋ねようとしたら
ギュウ、と抱きしめられた。
ギュウ、と抱きしめ返して左右に軽く揺れる。
「 黎と凛は、ずーッと一緒だもんね 」
そういって無邪気に凛は微笑んだ。
黎も無邪気に微笑んだ。
幼かった二人には、この関係が一生のものだと思っていた。
手を繋ぎ、色々な所に行ったり。
手を繋ぎ、いろいろな話をしたり。
お互いさえいれば、幸せだと思った。
一緒にいて当たり前な大切な片割れ。
好きな人なんか、作らない。
僕は凛さえいればいいんだ。
君だけは、どうか永久に僕のそばで――