幼 馴 染 、
凛
「凛ー?起きなくていいの??風邪引いちゃうよ?」
そう俺が声をかけても、凛は微かに身じろぐだけだった。
昨夜は満月だった為、月が好きな凛は
夜じゅうずっと月を眺めてたらしかった。
窓も開けっ放し、カーディガンを羽織ってはいるがコレではさむいだろう。
「凛?今日の学校はどうするの?」
「うー…二時間目ぐらいにいくぅ……」
どうやら寝たのがよっぽど遅かったらしい。
普段は遅くても0時までに寝ている凛にはきつかったらしい。
怪訝そうに眉を潜めるが、瞳が開く気配はない。
(可愛いなあ……)
双子の妹をじぃ、と見詰めて毎回思うこと。
白く、透き通りそうな雪のような肌。
毛さきは軽くウェーブしているが殆ど痛んでいないサラサラの髪。
長いまつげ。小さく、よく熟れた赤い林檎のような唇。
典型的な美少女の顔立ちをしている凛。
今までに、何度もスカウトもされてる。
何度も告白もされている自慢の妹。
でも、これは俺のもの。
誰にも触らせないし、誰にも渡さない。
凛は一生僕だけのものでいればいい……。
何時からだろう、凛にこんな感情を抱き始めたのは。
元々、凛は大好きだった。
しかし、こんな恋愛感情ではなかった筈だ。
(嗚呼、壊してしまいたい――)
目を、スッと細めて凛の頭に手を触れる。
優しく数度頭を撫でれば、凛の表情が和らぐ。
「凛、起きる?」
優しく、穏かな声で話しかける。
凛はゆっくりと瞳を開いて
気の強そうな綺麗な瞳を俺に向ける。
そうして、ゆっくりと言葉を紡ぐのだ。
「うん、起きるよ。ゴメンね」
「いいえ、慣れてるし、気にしないよ」
「あはは、そうだねえ。何時も起こしてもらってばかりだ」
申し訳無さそうに、しかし楽しそうに凛は笑う。
俺もニコリと微笑んでそうだね。と笑う。
時計を見れば、6時30分を回った所だった。