幼 馴 染 、
「あれ、今日はちょっと早いね」
「嗚呼、ごめん。俺の都合で起こしちゃった」
「んー、今日なんか逢った??」
「うん。友達との約束があってさ」
そうなんだ、と凛はテーブルに並べられたトーストを一口かじった。
マンションで二人暮らしとはいえ、相変わらずこの家は広い。
辺りを見回し、俺は毎度の事ながらそんなことを思う。
2人に与えられた空間は、とてつもなく広かった。
洋風なつくりだが、和室もある。
簡単に言えば一流のホテルみたいな外観だ。
「あっ凛も今日ちょっと遅くなるっ」
「……なんで?」
「……お友達と、お買いもの……」
「そっか、あんまり遅くなるならメールか電話しろよ?」
凛はうんっと元気のいい返事をして珈琲を流し込んだ。
朝食をとり終えれば、制服に着替える。
男女共にデザインのいい制服は県内でも凄く人気がある。
制服のためだけに、受験する人がいるぐらいだ。
「リーン、洗面所先に使う??」
「黎が先に使っていいよー?」
それじゃ、と言うと俺は洗面所に入っていく。
髪を軽く整えて、顔を洗い、歯を磨く。