1ページホラー学校編
保健室のジンクス
(女性15歳、学生)
私のいた中学校の保健室には珍しい噂があった。
4:44に保健室にいる事ができたら、高校の第一志望に合格するというものだ。
なので、受験期の12月から1月は人が保健室にあふれる。もちろん、ただのジンクスなので受かる人もいれば落ちる人もいる。
私も今年は受験生だったのでそのジンクスあやかろうと機会を伺っていた。
ただ、私はどうしても受かりたかったので"ちゃんと"4:44に保健室に向かった。
そう、朝の学校に忍び込んだのだ。
早起きはしたくなかったし、曜日の指定はなかったので日曜日の朝に向かった。
朝はまだ日の出はなく真っ暗だったが、徹夜でテンションも上がっていた。
軽い肝試し気分で人気のない学校に入った。
今思えば日曜日の朝4時半に学校の校門も玄関も開いているのがおかしかった。
少し怖いなと思っても保健室までは玄関から左に曲がって突き当たりの一直線。すぐに着いた。
保健室にも鍵はかかってなかった。スッと入って入り口すぐにあるベットにダイブした。
ボフッと家のベットよりも心地よく私を適度な弾力で迎えてくれた。
なんだかんだ早朝の誰もいない学校に忍び込んだ緊張と、深夜のテンションとでふざけた行動にでた。
スマホを見ると4:40だった。
あと4分かあ、と少し冷静になって隣のベットを見てゾッとした。
隣のベットに腰掛け私を見下ろしている女の子がいたのだ。
「あなたも噂を信じて来たの?」
私が固まっていると、女の子は声をかけてきた。私はほっとした。同じ目的で来たのか。
「そうよ。もーびっくりしたぁ」
「ごめんなさい。人が来る音が聞こえたから」
そこから他愛のないおしゃべりをした。ふとスマホを見る。もう4分経ってるだろう。
「えっ」
スマホの時計は4:40のままだった。
「どうしたの」
「いや、あのスマホ壊れたのかな。時計進んでなくて」
そうだと思い、振り返って保健室の壁掛け時計を見た。
4:40。
「……おかしい」
「おかしくないよ」
それまで喋っていた声とは違う。冷たい声色だった。
「え?」
女の子に目を戻すと、そこには今まで話していた女の子ではない血まみれの女が立っていた。
「私ね、受験で落ちて死んだの。受験なんていいことない。あなたも楽になろう」
手を伸ばしてきた。
「いや!」
私はその手を避けて保健室から出た。
「ふふっ残念」
女がそう言うと保健室がピシャリとしまった。
私は何が起こったのかわからず、放心状態だった。無意識にスマホを確認した。
4:43。
「あ」
保健室のドアに手をかけたが開かなかった。女の幽霊がいるかもとか気にせずドアをガタガタと開けようとした。
結局開かずジンクスは失敗してしまった。
それからは大変だった。
受験勉強しようとするとあの女の顔がよぎって集中できなかった。
そして、第一志望に落ちた。
ジンクスに頼ろうとした罰なのだろうか。
なんとか1番下の滑り止めに受かったが、理想の学校生活には思えない。
私はこのまま冴えない人生を送るのだろう。
(女性15歳、学生)
私のいた中学校の保健室には珍しい噂があった。
4:44に保健室にいる事ができたら、高校の第一志望に合格するというものだ。
なので、受験期の12月から1月は人が保健室にあふれる。もちろん、ただのジンクスなので受かる人もいれば落ちる人もいる。
私も今年は受験生だったのでそのジンクスあやかろうと機会を伺っていた。
ただ、私はどうしても受かりたかったので"ちゃんと"4:44に保健室に向かった。
そう、朝の学校に忍び込んだのだ。
早起きはしたくなかったし、曜日の指定はなかったので日曜日の朝に向かった。
朝はまだ日の出はなく真っ暗だったが、徹夜でテンションも上がっていた。
軽い肝試し気分で人気のない学校に入った。
今思えば日曜日の朝4時半に学校の校門も玄関も開いているのがおかしかった。
少し怖いなと思っても保健室までは玄関から左に曲がって突き当たりの一直線。すぐに着いた。
保健室にも鍵はかかってなかった。スッと入って入り口すぐにあるベットにダイブした。
ボフッと家のベットよりも心地よく私を適度な弾力で迎えてくれた。
なんだかんだ早朝の誰もいない学校に忍び込んだ緊張と、深夜のテンションとでふざけた行動にでた。
スマホを見ると4:40だった。
あと4分かあ、と少し冷静になって隣のベットを見てゾッとした。
隣のベットに腰掛け私を見下ろしている女の子がいたのだ。
「あなたも噂を信じて来たの?」
私が固まっていると、女の子は声をかけてきた。私はほっとした。同じ目的で来たのか。
「そうよ。もーびっくりしたぁ」
「ごめんなさい。人が来る音が聞こえたから」
そこから他愛のないおしゃべりをした。ふとスマホを見る。もう4分経ってるだろう。
「えっ」
スマホの時計は4:40のままだった。
「どうしたの」
「いや、あのスマホ壊れたのかな。時計進んでなくて」
そうだと思い、振り返って保健室の壁掛け時計を見た。
4:40。
「……おかしい」
「おかしくないよ」
それまで喋っていた声とは違う。冷たい声色だった。
「え?」
女の子に目を戻すと、そこには今まで話していた女の子ではない血まみれの女が立っていた。
「私ね、受験で落ちて死んだの。受験なんていいことない。あなたも楽になろう」
手を伸ばしてきた。
「いや!」
私はその手を避けて保健室から出た。
「ふふっ残念」
女がそう言うと保健室がピシャリとしまった。
私は何が起こったのかわからず、放心状態だった。無意識にスマホを確認した。
4:43。
「あ」
保健室のドアに手をかけたが開かなかった。女の幽霊がいるかもとか気にせずドアをガタガタと開けようとした。
結局開かずジンクスは失敗してしまった。
それからは大変だった。
受験勉強しようとするとあの女の顔がよぎって集中できなかった。
そして、第一志望に落ちた。
ジンクスに頼ろうとした罰なのだろうか。
なんとか1番下の滑り止めに受かったが、理想の学校生活には思えない。
私はこのまま冴えない人生を送るのだろう。
< 1 / 50 >