1ページホラー学校編
採点

(女性25歳、中学校教師)

部活も夏の大会に向けて忙しく、イベントも多い、この時期に中間テストがある。

学生よりも先生の方が忙しい。

しかも、職場では業務改善の名目で残業ができない。

隠れ残業代もつけろよ。

今年もそんなことを思いながら、家に持ち帰ったテストの山を採点していた。

答えがあっていれば作業もスムーズだ。

間違っていると採点が面倒くさい。

賢い子を贔屓するのは先生として当たり前だなとこの立場になって気づいた。

さて、残り半分位と思った所で手が止まった。

「マサキ、サユリ……?」

誰だろう。

今さっきつけていたクラスを確認する。

うん、このクラスの子ではない。

他のクラスの答案用紙を見る。

うん、やっぱり違う。

生徒の名前を全て把握しているわけではないが、それでもなんとなく受け持っている学年の子の名前はわかる。

こんな子はいない。

誰かのいたずらだろうか。

筆跡も普通で誰が書いたかなんてわからない。

そもそもわざわざテスト2枚も書く手の込んだことをしないだろう。

まぁとりあえずつけるか。

そう思って採点をした。

82点。

まずまず優秀だと思った。

マサキサユリはどのクラスかわからないし、誰かのいたずらだとしたら、犯人探しをして面白がらせるのも癪だ。

マサキサユリのことは触れなかった。

そのせいか、それからも小テストを採点する際、マサキサユリは混ざっていた。

私がいたずらに触れないのでエスカレートしてるのか。

とはいえ混ざってるのは特定のクラスではなく筆跡は全て一緒だった。

それに集める時に一人ずつ持ってこさせたりと工夫をしても混ざっていた。

流石に頭にきたが、生徒と揉めるのは面倒なご時世だ。

指示を仰ぐために学年主任に相談した。

「ああ、それは採点してください。答案用紙はまとめて取っておいてくださいね」

あっさりとした返事が返ってきた。

職員室いた他の教員は「今年はそちらでしたか」とか「夏の教員懇親会は登山ですな」とか声が漏れていた。

しょうがないので束になったマサキサユリの答案用紙は私の机の引き出しにしまっておいた。

これも教員になって気づいたが、七不思議的なものはどの学校にも実在する。
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