狙われてますっ!
「いやー、でも、朝、適当にむすんだおむすびが一万円とか。
 返したいんですけど、何処の誰だかわからないんですよねー」

 すぐに開けてみればよかったのだが、もらいものの割引券をやるとか言っていたので、その辺のショッピングモールかドラッグストアでもらえる割引券くらいに思っていたのだ。

 割引券じゃなくて、お食事券じゃないですか……。

 どうやら、彼は、あまり細かいことに頓着しない人間のようだった。

「じゃあ、お昼休みにまた公園に行ってみたら?
 その彼、現れるかもしれないわよ。

 恋がはじまったりして」

 真琴はそう言い、ふふふ、と笑う。

 汐音が、
「は、はじまりますかね~?」
とかなり懐疑的に訊き返したとき、

「そもそも、そんな物欲しそうにおむすび見てるような男でいいわけ?」
という声が後ろからした。
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