狙われてますっ!
 そんなことより、気になっていることがある。

 何故、私はこの人に口説かれているのか。

 私なんぞが好みだとかないような気がするんだが。

 もしや、罠っ!?
 実は、もふもふさんは、なにかの組織の人で、私を狙いにっ!?

「待て。
 なんで、俺じゃなくて、お前を狙う」
と渡真利が居たら、言いそうなことを思う。

 自然に溶け込めるように、渡真利たちは汐音には詳しい話をしておらず、汐音は誰が渡真利たちが目をつけている人物なのかも知らなかった。

 なので、妄想は膨らみ、もふもふさんは、なんかすごい事件を企んでいるギャング団の一味で、私の正体に気づいて狙っている、まで、汐音の頭の中は行っていた。

「……ギャング団ってなんだ。
 お前、ほんとうに警察官か?

 あと、私の正体ってなんだ。
 ただの公務員だろうが」

 お前、今のとこ、なんにもしてないぞ、と言いそうな渡真利が、実はすぐそこまでやってきていた。

 汐音がお手洗いに立ったまま戻らないので、心配して廊下に出てきていたのだ。
< 159 / 438 >

この作品をシェア

pagetop