狙われてますっ!
よし、明日はおかかにしよう。
夜、汐音が実家のキッチンでゴソゴソしていると、
「なにしてるんだ?」
と従兄の里見繁がひょいと覗いて言ってきた。
「いや、お母さんがおかずの残り持って帰っていいって言ってたから、ちょっともらって帰ろうかと。
お弁当に詰められそうなやつとか」
と汐音が笑うと、
「へえ。
ちゃんと弁当作ってってんのか、偉いぞ」
と長身の繁に上から頭を撫でられる。
五つ上の繁は昔から、褒めて伸ばすタイプというか。
これはどうだ……と両親が息を呑むような絵を汐音が幼稚園で描いてきても、
「画用紙に収まりきらないくらい大胆ないい絵じゃないか。
すごいぞ~、汐音」
と褒めてくれたり。