狙われてますっ!
「えっ?
 あ、あれっ、渡真利さんっ」
と一瞬、ビクッとした父母だったが、ちょっと笑って、渡真利に言った。

「もう~っ。
 野暮なことしないでくださいよ~。

 人がせっかく勇気出して言ったのに。
 もしかして、渡真利さんも汐音ちゃんが好きなんですか?」

 そう言われて、渡真利は困惑していた。

 ……これ以上ないくらい困惑していた。

「あ、あの……」
と汐音が言いかけると、すっと父母は手を離して言う。

「ごめんごめん。
 お酒が入って気が大きくなってたよ。

 こんなのフェアじゃないよね。
 渡真利さん、正々堂々と行きましょう」

 父母に手を差し出され、渡真利は強く頷き、握り返していた。

 ……いや、ちょっと待ってください。
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