狙われてますっ!
「スナイパーっていうか、ハンターっていうか。
 公園でお弁当食べてたら、じっとこっちを見てる人が居てさ。

 おむすび食べたかったんだって」

「それは公園とか河原とかに住んでる感じの人か」

「いやいや。
 全然、普通の男の人だよ。

 わりと格好いい。
 コンビニ弁当に飽きてたから、じっと見ちゃったって言ってたよ」

 そう言いながら、汐音は内心、わりと、じゃなかったな、と思っていた。

 かなり格好よかったけど。

 今、此処で身内に向かって、口に出してそう言うの、なんかちょっと恥ずかしいな、と思っていた。

「公園に居た男ねえ……」
と繁は呟く。

「まさか、もう目をつけられたんじゃないだろうな」
と繁が言ったとき、汐音の母、利子(としこ)がキッチンにやってきた。

「なにが目をつけられたの?」

「いやいや。
 汐音がわりと格好いい男に目をつけられたと……」

「そんなんじゃないったらっ」
と二人で言い合っていると、

「あらそうなの?
 汐音は繁ちゃんと結婚するのかと思ってた」
と利子が言い出す。
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