狙われてますっ!
 求はこじんまりとした汐音のアパートを見上げ、
「お前の部屋は何処だ?」
と訊いてくる。

 だが、すぐに、
「いや、別に上がり込もうと言うんじゃない」
と慌てて付け足してきた。

「えーと、一階のそこです」
と汐音が東端の部屋を指さすと、求は、うん? という顔をする。

「一階なのか、女子なのに」

 物騒じゃないのか、と言ってきた。

「ちっちゃな庭がついていていいんですよ」
と汐音は言ったが、求が不安そうなので、

「二階だとうるさいかな、と思って」
と一階に住んでいる理由を補足してみた。

 うるさい?
 誰が? なにが?
という顔を求はしたあとで、

「うるさいなら出たらどうだ?」
と訊いてくる。
< 204 / 438 >

この作品をシェア

pagetop