狙われてますっ!
 求は迷いながらも、
「いや、あいつが俺に言わないことを他所(よそ)から聞くのは……」
と言った。

「そういうとこ、意外とピュアですよね~、求様」
と有川は笑う。

「……では、私が知り得た内容、話はしませんが。
 ひとつだけご忠告を」

 そんな有川の言葉に求は唾を呑み込む。

「狭間様に手料理を振る舞われても、決して口をつけてはなりません」

 毒を盛られるとかかっ、と思う求の頭の中で、汐音は魅惑の女スパイや暗殺者(アサシン)になっていたが。

 魅惑の女スパイにしては、色香が足りなかった。
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