狙われてますっ!




 月曜日。

 不安と希望を織り交ぜたような夢だった、とあの日の夢を思い出しながら会社に行った求は、なんとなく天井を見上げる。

 うさ耳汐音がダクトの中に潜んでいる気がしたからだ。

 だが、デスクの前で待ち構えていたのは、USBメモリとおにぎりを手にした汐音ではなく、恋愛アプリチームの女子たちだった。

「社長っ。
 あのあと、どうでしたっ?」
と勢い込んで問われる。

「お前ら……、あんな寒かったら、心がささくれ立って仲違いするだろうが」
とちょっぴり文句を言ってみたのだが、

「なに言ってんですかっ。
 寒いときこそ、チャンスですよっ」
とすごい勢いで反論された。

「『大丈夫か?』って言いながら、凍える女子を抱きしめるんですよっ。
 やらなかったんですか? 社長っ」
と叱られ、

 ……もうお前たちが俺に変装してやってくれ。
 その方が上手くいきそうだ、
と思ってしまう。
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