狙われてますっ!




「なに、二人で何処か出かけられるってだけで浮かれてんのよ」

 昼休み、いつもの小会議室で汐音は輝美に駄目出しされていた。

「そんな手ぬるいことじゃ、二人で出かけても、なにもないまま終わりよっ」

 黙ってコラーゲン入りの紙パックジュースを啜っていた真琴が、そこで口を開いた。

「自分も上手くいってないくせに、なに恋愛の達人みたいに指導してるのよ」

 うっ、と輝美が詰まる。

「あれ?
 輝美さん、日坂さんと上手くいってないんですか?」

「う、上手くいってないわけじゃないわっ。
 ラブラブよっ。

 だけど、此処からどうやって進展させたらいいのかわからないだけよっ」
と輝美は早口に言ったあとで、

「でも、他人の恋愛は客観的に見れるから、あんたの何処が駄目なのかはわかるのよっ」
と言ってくる。
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