狙われてますっ!
 だが、輝美は俯き、
「いや、やっぱり、駄目……」
と低く言った。

 え? なんで? と全員が見たが、

「加工が激しくて駄目っ!
 人格のっ」
と輝美は言い出す。

 あ~、と全員が声を上げていた。

 文章なら実際しゃべるのと違って、何度も練り直せるので、人格の加工も可能らしい。

 でも、にじみ出す雰囲気ってあると思うけどな、と思いながら汐音は言った。

「いや、そんなの、実際に会うのと変わりないですよ。
 気になる人の前では、萎縮(いしゅく)して、いつもちょっと違う自分になってしまったりするではないですか」

 だから、気にするほどのことではない、と汐音が言うと、

「ありがとう、汐音。
 ちょっとだけ勇気出た~」
と輝美はホッとしたように言う。

「いつもすぐ揉めて付き合うまでいかないのに、今回、こんなにスムーズなのは、実際に会ってないからなのかなって思ってたのよ。

 ほら、文章だと一拍置いて考えられるから、カッとなったり、阿呆な発言したりしないじゃない。

 でも、ありがとう。
 頑張ってみるわ」
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