狙われてますっ!
「や……やってしまったわ」
汐音は、お疲れ様で~す、と入ったロッカールームでスマホを手に震えている輝美に会った。
「日坂さんとのやりとりに、ちょっと素直な自分を出してみようと思ったら、出しすぎて気まずい雰囲気になっちゃった。
あれから返信がないの」
と輝美は言う。
「たぶん、仕事が忙しいだけですよ」
とフォローを入れたが、
「でもさ、考えてみれば私も写真でしか日坂さん知らないし。
いやまあ、自分が勇気がなくて会わなかっただけなんだけど……。
結局、お互い相手のことをよく知らないままなのよね。
私、学生時代みたいに、恋に恋してるだけなのかしら」
と輝美は溜息まじりに言ってくる。
「日坂さんは……」
素敵な人ですよ、と言おうとしたのだが、出会いが悪かったせいで、きょどった武志の顔しか浮かばない。
「す、素敵な人ですよ……」
「なに噛んでんのよ、あんた……」