狙われてますっ!
 だが、
「ぎゃああああーっ!」
と更に大声で叫んだものが居た。

 樹里亜だ。

 汐音が悲鳴を上げながら、反射的に突進していったからだ。

 まだ、なにもしてないのにっ!
という顔のまま、樹里亜は腕を捕まれ、上体を低く下げた汐音に天高く放り投げられる。

 確かに樹里亜は、まだナイフを隠し持っていただけで、それで汐音を脅したりはしていなかった。

「助けてーっ!」
と叫びながら、樹里亜を投げ飛ばした汐音だったが、すぐに正気に返る。

 やばいっ。
 下、アスファルトだったっ。

 慌てて、樹里亜がアスファルトに叩きつけられる前に、彼女の身体を軽く引き上げる。

 腰は打ちつけたようだが、軽傷のようだ。

 そのとき、
「汐音っ!」
と渡真利の声がした。

 他の捜査員も駆けつけてくる。

 樹里亜を見張ってたところに父母と汐音が現れてしまい、様子を窺っていたのだろう。
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