狙われてますっ!
「汐音……。
 お前に話がある」

 ……はい。

 渡真利はそのまま汐音を見つめている。

「……話がある」

 はい。

「話があるんだ」

 だから、はい、と汐音はそのまま待っていた。

 渡真利はかなり迷ってから、その先の言葉を口にした。

「渡真利になって、お前に接するようになって、初めて気づいたことがある」

 どうやら、俺はお前が好きらしい――。
 そう渡真利は言った。

 自分でも不可解だ、というように首を傾げながら。

「なんでだろうな。
 なんで、いつの間に……。

 お前のことは、お前が幼い頃からずっと、兄のように見守ってきたのに」

 ……あの、私が幼い頃って。
 そんなに年違わないんで、あなたも幼かったと思うんですが。

 だが、ちっちゃな繁がちっちゃな汐音を見守っているところを想像すると、ちょっと可愛い。

 そう思ったとき、繁が言った。
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