狙われてますっ!
「お前が加倉井を好きなことはわかっている。
 だから、最後に言いたかっただけだ。

 俺が里見繁に戻る前に」

 ……私なんかにそんなことを言ってくれて。

 ありがとうございます。
 渡真利さん、おにいちゃん。

 ……でも、そうか。
 そうなんですか。

 私は加倉井さんが好きなんですか。

 そうかもなって思ってましたけど。
 今まで誰も好きになったことがなかったので。

 この感情が恋なのか。
 まだまだ不安なんですけどね。

 いつも絶対間違ってない

 ……と私が思い込んでいるおにいちゃんと渡真利さんが言うのなら、そうなんでしょうね、と汐音は感慨深く思っていた。

 かつて、幼いおにいちゃんが、
「執事になった人は、全員、名前をセバスチャンと改めるんだ」
と言っていたのを私はずっと信じていましたよ。

 セバスチャンJr.とか、セバスチャン一世とか、セバスチャン二世とかになるのかなと思いながら。

 実は似たもの同士な従兄妹だと、みんなは言うかもしれないけれど――。

 でも、尊敬してしましたし、これからもしてますよ。
 そう汐音は思っていた。
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