狙われてますっ!




「なによ、あんた、もう次行くのーっ?」

 翌日、此処を去る挨拶をすると、輝美たちがそう言ってきた。

 汐音の代わりの人間はもう派遣会社から来ていて、今日、引き継ぎをしている。

 最初から手筈(てはず)は整えてあったので、スムーズだった。

「寂しくなるね」

 廊下を通りかかった父母(ふも)がそう言ってきた。

 昨日、父母は事情を聞かれたあと、汐音たちのことを口止めされ、すぐに帰れたようだった。

 単に樹里亜に利用されただけで、彼自身はなにも事件に関与していなかったからだ。

 汐音は今日で終わりだが、渡真利の方は、もう少しこの会社に出入りするようだった。

 もうちょっと調べたいことがあるのと、ふたり同時に消えたら怪しまれるからのようだった。
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