狙われてますっ!
 


 週末、汐音は求と実家を訪れていた。
 求を家族に紹介するためだ。

「今日は私も腕をふるっちゃいますね」
と笑う汐音を、繁が、

 ……よせ。
 すべてをだいなしにするつもりか、という顔で見ていた。

 だが、求と結婚するのなら、避けては通れない道だ。

 繁が求の肩を叩いて言う。

「うちはな、加倉井。
 褒めて伸ばす方針なんだ」

 ある意味、渡真利より恐ろしい、有無(うむ)を言わせぬ微笑みを浮かべ、繁は念押ししている。

 汐音がどんなものを作っても、何処かは褒めろよ、とその目には書いてあった。
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