狙われてますっ!




「もしもし」

 電話に出ながら、求が離れていく。

 チラ、と武志は汐音を見た。

 チラ、と汐音も武志を見る。

「……何処かで会ったよね?」

「そうでしたっけ?」

「いや、会ってないんならいいんだよ」
と武志が言ったとき、

「狭間さーん」
と後ろから声がした。

 美女が三人くらい手を振っている。

「あ、こんにちはー」
と汐音が笑顔で手を振り返していた。

 いつもなら手を振る美女たちに、つい視線が吸い寄せられるところなのだが、武志の耳には今の言葉が張り付いていた。

『狭間さーん』

 ……狭間さん?
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