狙われてますっ!
「なんでこんなところに居るんですか?
 転勤ですか?」

「私、今、近くの会社で派遣社員をやってるんです」

「えっ?
 クビになったんですか?」

「……やめたんですか、じゃなくて、クビになったんですかが気になりますが。
 まあ、そんな感じです」

 汐音はこちらを向き、言った。

「まだ誰にも言わないでくださいよ。
 私と日坂さんだけの秘密です」

「……汐音さん」

「はい」

「なんであなたのことだけ鮮明に覚えてたか、思い出しました」

 はい? という顔で汐音が自分を見る。
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