狙われてますっ!




 その頃、汐音もようやく気づいていた。

 このスナイパーの人が見ているのは、私のおむすびのようだ、と。

 まさか、おむすびを狙撃するつもりじゃないだろうから。

 きっと食べたいんだろうな。

 えっ?
 でも、めちゃくちゃいい身なりをしてるのに。

 実は会社を経営していて、今、倒産の危機にあって、なにも食べてないとかっ?

 そんな汐音の妄想は微妙に当たっていた。

 いや、会社を経営していて、のところだけだが。

 (もとむ)はこの近くのビルに入っているアプリゲームの会社の社長だった。

 波に乗ってヒットを飛ばしているので、別に経営は傾いていなかったが。

 ……可哀想に。

 勝手に頭の中でストーリーが膨れ上がり、さっきまで、おむすびをカツアゲされそうな気持ちだったのに、汐音は自分から歩いて求のところに行った。
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