告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「5限には返してね」
「了解。いつもわりーな」
「悪いと思ってなさそう」
「思ってるって」
にっと歯を見せ、私の頭を掻き回すその手は昔と変わらない。
色々なことがあって、深い傷を負ったり、後悔があったり、お互いがんじがらめになっていたけど、和解してからはぎこちない私に対して、陸くんがすごく距離を詰めてきたからここまで普通になれた。陸くんは昔から同い年なのにお兄ちゃんみたいだ。
「兄貴みたいとか思ってそうだよなお前」
「え、えーーーっと……それは」
「俺そんなこと一回も思ったことねぇし。それにこの前言ったよな、あの頃俺────」
「わーーー!!うるさいっ!」
「いや凛子のがうるせぇし。別にいいだろ?今の話じゃねんだから」
「とりあえず黙っ……」
────バサッ
廊下に出て言い争っていると、陸くんの手にあった私の教科書が後ろから抜き取られた。
そして、代わりに別の誰かの教科書がその手に持たされる。
突如そんなことをする犯人は、私の知る限り────。