告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「こっち貸す」
「……おいおい、俺は凛子に頼んだんだけどなぁ」
「別に誰の教科書でも変わらないだろ」
「だったら余計に凛子のでいいだろ」
「凛子のはダメ」
「めんっっどくせーーーなコイツ。おい凛子なんとか言えよ!っつーか、この教科書お前のじゃねぇのかよ!高田って誰だよ!」
「なんで俺の貸してんの?!巻き込むなよ!」
「高田うるせー」
カオスだ。
高田くんとジュースでも買いに行っていたらしい水瀬くん、もとい奏多くんが、高田くんを巻き込んだ。
奏多くんはパックジュースのストローを咥えたまま私を自分背に隠し、私は目の前で繰り広げられる大きい男子達の口論を、間抜けに口を開いたまま聞いていた。
「おい、お前邪魔なんだよ。今凛子と話してんのは俺だろ」
「教科書あるんだからもう用はないだろ」
「ちょ、それ俺の教科書……」
「み、みんな落ち着いて……あの、ちょっと奏多くん」
私が名前を呼んだ瞬間、奏多くんはガバッとこちらを振り返る。最近やっと苗字から名前へと呼び方を変えることに成功し、呼ぶ度に奏多くんは機嫌がいい。
反対に苗字で呼ぶとすごく不機嫌だけど……。