告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜




「……あいつ、父子家庭で小さな頃から同居してるばあちゃんに育てられてて……ちょっと複雑なんだよ家庭が」
「そうなんだ」
「だから、何かあったら助けてやりたいし、大切だけど……その大切は家族的な物であって、凛子に向けるものとは違うから」
「…………うん」



 奏多くんの言葉で、ホッと胸を撫で下ろした自分がいた。

 けど、同時に愛理先輩の気持ちを考えると、心がちくりと痛む。

 愛理先輩はどんな気持ちで私に奏多くんを大切だと言ったんだろう。

 私、奏多くんのこと……好きでいてもいいんだよね?



「なんか難しいこと考えてそう」
「んぐっ」



 鼻をムギュッと摘まれ、変な声が出てしまった。奏多くんはそんな私を見て楽しそうに笑った。

 そして、地面に置いた手に、奏多くんの手を重ねられる。じわっと優しい温かさが肌から心に伝わってくる。



「少しでも不安があるなら何でも言って。予約してここまで頑張ってきて、小さな事で振られたくない」
「……う、うん。分かった」



 私の小さな不安を打ち消すように、奏多くんは口角を上げる。

 恋ってすごい。好きな人が笑うだけで、世界が広がるようだ。会う度話す度好きになる。

 私、もっと……。



「(奏多くんに近付きたい。彼女になりたい……)」




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