告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜



「凛子?ちょ、待ってやばい顔、赤すぎっ……!熱中症?!」
「そっ、そうそうそう、熱中症っ!だから私今日帰るねっ」
「え、待ってそれなら保健室っ」
「じゃあまた────」



 ────グイッ

 もうその場にいるのも限界で、逃げ出そうとした時にはもう遅かった。

 私の肩を抱いた奏多くんが、二人に向かって手を振る。圧がやばい。



「俺が責任持って連れて帰るから。電車も同じだし。凛子もそれでいいよね」
「…………は、はい」
「じゃ、じゃあね二人とも」
「片山さんお大事にな」



 二人に見送られ、私は奏多くんにほぼ引きずられるようにして廊下を進む。

 そして、人気のない特別教室の階にある空き教室のドアを開けると、そこに私を引き込んだ。



「か、かかか、奏多くんっ」
「…………」
「待ってごめん!心の準備がっ……」



 ドアを閉めた後、私を壁に向かってドンドン追い込むその雰囲気に、私はなす術なく騒ぐことしかできない。

 そして、ついに壁に背中がぴったりとくっつく程に追い込まれ、心臓が激しく動きすぎて破裂する寸前に、奏多くんはぽつりと呟いた。



「そんなに嫌?」
「…………え?」
「凛子が嫌ならしない。……けど、俺結構今回頑張った」



 まるで拗ねた子供のように唇を尖らせる奏多くんに言葉を失う。



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