告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「俺も、心配だから。そうしようと思う」
「……うん、それがいいと思う」
「だから花火大会、今回無理そうだ」
分かってはいたけど、気持ちが急降下する。
すごく、すごく楽しみにしていたから。花火も、奏多くんと一緒に行けることも。
けど、前もってこうやって連絡をくれてるんだから、奏多くんだって愛理先輩だって大変なんだから……。
私は、絶対態度に出したらダメだ……!
なんて答えたらいいんだろう。私が黙っていると、奏多くんの優しい声がした。
「凛子」
「なに?」
「絶対、落ち着いたら埋め合わせするし、ちゃんと告白するから」
奏多くんの言葉はとても真っ直ぐで、私を落ち着かせるようなものだった。
「だから、待ってて」
「────うん」
大丈夫、きっと何も起きない。けど、なぜか心のもやが晴れない。
奏多くんにとって、愛理先輩は家族同然で、大切な存在。
そんな人が落ち込んでいたら、そばに居たいと思うのは普通だ。当たり前の感情。
電話を切った後、私はしばらくその場から動けなかった。
……奏多くんにとっては家族だけど、愛理先輩にとって、奏多くんは……?
「ダメだ、こんなこと考えてたら」
────これは嫉妬だ。
何で最低なんだろう。先輩が大変な時に、私はなんてことを考えてるんだ。
花火大会なんて、この先いくらでもある。大丈夫、大丈夫なはずなのに。
「なんでこんなに、落ち着かないんだろう……」
私は木陰を出て、不安な気持ちをかき消すようにスーパーに向かって走り出した。
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