告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
真顔でサラリと言われた言葉に驚き、顔が赤くなる。
陸くんの、思ったことをすぐ言葉にするところは良し悪しだと思う。
救われることもあれば、振り回されることもあるし。
陸くんはそんな私の心情なんて構わず、会場に向かう人混みを指さした。
「早く行こう。夏の醍醐味やりつくそう」
「やりつくそうって、私出店もいいけど花火も……」
「分かったから!ごちゃごちゃ言わず早く!」
陸くんの後を追うように、私達は花火大会の会場への人の波に紛れた。
会場に近づくにつれ、出店特有の焼きそばやチョコバナナの食欲をそそる良い匂いがあちらこちらからして、気持ちが高まっていく。
空も、夕暮れ時の茜色の空から、徐々に暗くなっていく。
「凛子、手首掴んでいいか?」
「えっ」
「これ、スマホ持っててもはぐれたら大変だから」
「そっか。もちろん、お願いします」
「ん」
陸くんに手首を掴まれ、人混みをするする進んでいく。
そして会場にたどり着くと、地元でも有名な花火大会なだけあって、数え切れないほどの出店が並んでいた。そして、人の多さも尋常じゃない。
「凛子、何食いたい?」
「えっと……お好み焼きとか」
「ナイスチョイス。俺は焼きそば。半分にしようぜ」
「うん」
二人で出店に並び、お好み焼きと焼きそばを買った。
そしてなんとか座れるスペースを見つけ、二人で座ることができた。
「凛子、焼きそばやばいこれ食ってみろって」
「お好み焼きもすごいボリュームだよ」
「うわ、ほんとだうめー」
「……焼きそばもすごいね」
陸くんは目を輝かせながらお好み焼きと焼きそばをパクパク食べていく。
その表情があまりに子供時代と変わってなくて、思わず笑ってしまう。