告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「やめることにしたんだ」
「は」
「もう奏多くんのこと好きでいるの。ほら、奏多くんには私より合う人絶対にいるし」
「お前さ、本気でそれ言ってんのか」
「……本気だよ」
「下手くそな笑顔で、何我慢して嘘ついてんだよ」
「…………」
「俺の前で辛いのに笑われんの、ムカつくんだよ」
陸くんは、苛立ちを隠さず私に向けてきた。その瞳はゆらゆらと熱く揺れていて、思わずそらす。
なんでそんなこと言われなきゃいけないの?私は私の意思で終わりにしたの。辛いのに笑ってないと、今にも弱音を吐きそうなの。
もう放っておいてほしくて、その場から歩き出そうとすると、腕を掴まれ引き止められる。
ハッと陸くんの顔を見上げると、その表情は花火大会で見た、どこか切なさを含んだ物だった。
「俺の前では、強がらなくていいから」
その言葉が引き金だった。ずっと我慢していた涙が、私の目からはほろほろと溢れ、頬を伝う。
なんでそんなことを言うの?そんなに優しいことを言われたら、止まらなくなる。
両手で顔を覆った私の頭を、陸くんは優しく撫でる。そして、少しだけ苦しそうな陸くんの声が頭の上から降ってきた。
「頼むから幸せになって」
その時だった、キュッと床を踏みしめる音がその場に響く。