告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
そして、私の頭の上に乗った陸くんの手が空に浮いた。
「────なに泣かせてんの」
その声は、私がずっと焦がれていた物で。反射的に顔を上げると、そこには陸くんの腕を浮かんで睨む奏多くんがいた。その目には怒りが滲んでいて、私は息を呑む。
なんでここに奏多くんが?
動揺する私を他所に、陸くんは一瞬目を見開いた後、自分の腕を掴む手を振り払い、冷たい言葉を吐く。
「関係なくね?」
「……泣かせるな」
「こいつとの約束断って、他の女と花火大会行ってた奴が何言ってんだよ」
「っ……」
バチッと奏多くんと視線が合う。私が二人を見てしまったことを、奏多くんは知らない。私は気まずくてその視線をすぐにそらす。
陸くんは怒りを込め、話を続ける。
「凛子がどんな気持ちでお前らのこと見てたか、知ってんのかよ」
「…………」
「大切な物一つ選べずに、凛子に決断させて辛い思いさせたくせに、口出してんじゃねぇよ」
「陸くん、やめて」
「今、俺の好きな女を泣かせてるのはお前だろ」
遠くの廊下で、生徒達の騒めく声がする。
その場が静まり返り、誰も声を発することはなかった。
それくらい私は驚いていた。奏多くんも同じなんだと思う。
好きな女?それって、待って────。