告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
(奏多side)
────ドーン、パラパラ…
夏の夜空に上がる、色とりどりの花火。様々な色や形、上がるたびに上がる見物客からの歓声。
確かに、キレイだと思う。
けど、本当なら隣にいるはずだった人のことを考え、俺の脳内はずっと沈んでいた。
「……愛理?」
「…………」
「どうした。体調悪い?」
「……ううん、平気」
今隣にいるのは幼馴染の愛理で、凛子ではない。
愛理はばあちゃんが入院して、俺への執着が日に日に増している。夏休みは出来るだけ一緒に過ごしているが、気分の波は激しい。
今日、愛理の父さんに頼まれ花火大会に連れ出してはみたものの、最初は楽しそうにしていたのに、途中で一度はぐれてからずっと元気がない。
愛理は愛想がなくて人に対して興味のない俺が、周りから誤解されないよういつも見えないところで手を貸してくれていた。
だから、俺にとってこんな愛理を放っておくという選択肢はない。
────けど。
「(何も好転しない)」