告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
階段の踊り場で、走り去る凛子とその幼馴染の後ろ姿を見つめる。
足の裏がその場に縫い付けられたかのように動かない。
あの時と同じだ、抑えきれずに凛子に告白しようとして振られた、あの公園での出来事。今と同じように追いかけられなかった。
何をしているんだろう。俺の気持ちは俺だけのものだ。なのに、全て中途半端だ。
俺が一番大切にしたいものと、大切にしなければならないものが違う。
「……かっこわりー」
俯いたその時、肩に手が乗った。振り返るとそこには息を切らした愛理がいた。
そうだ、凛子を追いかけるアイツを見て、俺は愛理を置いて追ってきてしまったんだ。
愛理は不安そうに俺の顔を覗き込む。
「置いていかないで」
そうだ。今するべきことは分かってるだろ?
俺は口を開く。
「大丈夫だよ」
本当は、大丈夫なんかじゃない。
今すぐに追いかけて、凛子の心を引き戻したい。
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