告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「なぁ、奏多変じゃね?」
「…………」
「夏休み付き合い悪かったし、なんかあった?」
放課後ホームルームが終わり帰ろうと席を立つと、高田がいつものように駆け寄ってくる。
普段ならそのまま一緒に帰るが、今日は誰とも話す気分じゃ───。
「片山さんともなんか話してなくね?」
凛子の名前が出たことで、思わず高田に向けた視線を強くしてしまった。
俺の反応に驚いたのか、高田は一瞬目を見開いた後、深く頷く。そして、がっしり肩を組んできた。
「なんだよなんだよ、水臭いな〜!」
「は?」
「悩んでたならもっと早く相談すりゃよかったのに。まぁ俺優しいから、全然いつでも話なんて聞いてやるし」
「ちょっと待て」
「場所移すか。中庭!仕方ねーなジュース奢ってやるよ」
「待てって!」
高田は人の話を聞かず上機嫌で歩き出す。肩を組まれた俺は、そのままズルズルと引きずられるように歩く。
教室を出る寸前、凛子と一瞬視線が交わり、すぐに逸らされる。それだけで胸が痛んだ。
「(凛子は、他人になろうとしてる)」
けど、なんで凛子は突然予約の関係を解消しようとしたんだ?
花火大会のことは申し訳なかった。けど、凛子を断った後愛理の家族に頼まれたから、自分から誘ったわけじゃないにしろ傷つけてしまったことに変わりはない。
けど、毎日連絡を取っていたし俺にそれを聞く機会はいくらでもあったはずだし、気持ちを伝えると、恥ずかしそうにそれを受け入れていた。