告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
下校する生徒でいっぱいの廊下を進み、下駄箱で上靴から靴を履き替えていると、後ろから声がした。
それは、今一番聞きたくないもので────。
「ねぇ、もう奏多って帰った?」
本当に、いつもこの人は奏多くんを探している。振り返るとそこには愛理先輩がいて、私をじっと見ていた。なんで私にそれを聞くのかが分からなくて困惑する。
私は一瞬躊躇ったけど、高田くんに引きずられていった奏多くんを思い出し、口を開こうとした時、私と愛理先輩の間に有菜ちゃんが割って入る。
「奏多くんは、」
「すいません。分からないですね」
「……あなたも奏多と同じクラス?」
「はい。けど同じクラスってだけで分からないので、自分で連絡した方が早いと思いますよ」
「そっか、そうだよね」
愛理先輩は有菜ちゃんにふわっと笑顔を向けた後、私に視線を戻す。
「これからは、自分で探すね」
「は、はい」
まるで、私が今後奏多くんに関わることを牽制するような言い方。
けど、もう私は自分で奏多くんへの気持ちに蓋をしようと決めた。もう先輩は何も心配する必要なんてない。
愛理先輩は私の答えを待たず、背中を向けて廊下の向こうに消えていった。
しばらくその背中を眺めていると、有菜ちゃんがくるっとこちらを向いた。その表情は明らかに機嫌を損ねている。