告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「凛子、本当にいいの?」
「……だから、いいんだって何度も」
「あんな風に人の恋路に口出して自分だけが楽で幸せな場所に行こうとしてる人間に、黙って自分の大切な人をあげちゃうの?」
「それは」
有菜ちゃんの目には、静かな怒りが籠っていて、私は話を続けることはできなかった。
そのまま手を引かれ、廊下の人気がない方へ進んでいく。そして立ち止まると、有菜ちゃんは口を開いた。
「奪わないでって言われて素直に従ってるけど、水瀬は先輩のものじゃない」
「けど二人は幼馴染で、今おばあちゃんが入院してて大変な先輩には奏多くんがいないとダメなんだから」
「じゃあ、水瀬には凛子がいなくて平気なんだ」
「…………」
「水瀬がどれだけ凛子を大切にしてたか、どれだけ男嫌いな凛子に頑張って予約してまでアタックしてたか、自分が一番分かってるでしょ」
ぐっと息が詰まる。
分かってる。私は今まで何度も奏多くんに助けられてきた。何度も想いを伝えてもらったし、こんな自分でもいいんだって、何度も何度も思わせてもらえた。
そこまでしてもらって、私がいなくても平気なんて言えない。