告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜



「愛理、ごめん」
「…………なに?」
「勝手だと思う。けど、愛理のそういう言葉に応えることはもうやめる」
「……え」



 声が震える。待って、どうして……?

 私の動揺が伝わったはずなのに、奏多はしっかりとした口調で話を続けた。

 さっきまでうるさいくらい鳴いていた蝉の声が止まる。



「愛理は、そんなこと言う奴じゃないから」
「…………え」
「本当は、優しくて誰かを傷つけるのを怖がって、なかなか言いたいことも言い出せない奴だから」
「…………」
「きっと、言いたくないのに。俺の存在がそうさせてる」



 奏多と視線が合う。その瞬間思い出した。

 ────そうだ、奏多のこの目は、私を心から信頼している目だ。

 こんな嫌な私になっても、奏多は私のことを心から信じているんだ。




< 170 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop