告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜



「それ、専門店のチョコレートなの。お礼だから。良かったら食べてね」
「ありがとうございます。大切に食べます」
「こちらこそ、本当にありがとう!」



 ニコリと笑うと、OLさんは手を振り去って行った。

 その後ろ姿を見送り、私は再び隣に立つ水瀬くんを見上げた。水瀬くんは私を見下ろしていて、その視線はどこか満足そうだった。



「かっこいいじゃん」



 水瀬くんはボソリとそう言うと、あの時と同じように口角を上げ、階段に向かい歩き出す。その後ろを何か言いたげな美人先輩が追いかけて行った。

 チョコレートの箱を、ぎゅっと胸に抱きしめる。水瀬くんが居なかったら、このチョコレートとOLさんの想いは行き場をなくしていたのかな。そう思うと、水瀬くんの行動にはすごく感謝だ。

 今日の今日まで、何を考えているかよく分からない水瀬くんを、苦手だと思っていたけど、その意識が薄れた。

 目立つことも、たまには悪くないのかも。そう思えるくらい、このチョコレートと水瀬くんは私に自信を与えてくれた。


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