告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜



「開けまーす」



 誰も居ないのは分かっているけど、薬箱から薬をもらうのに一応声を掛ける。そしてパクリ薬を飲み込み、雨が酷くならないうちに帰ろうと立ち上がる。──すると。



「えっ」



 すると、ベッドを囲む白いカーテンが揺れた気がした。

 もしかしたら誰か寝ていたのかな?出来心から、ほんの少しだけ開いた隙間から中を覗く。



「(水瀬くんだ)」



 そういえば6限目、教室に居なかったのは体調が悪かったからなんだ。

 水瀬くんは、毛布に包まりまるで猫のように丸まっている。閉じられた目を縁取る睫毛が長くて羨ましい。……って、そうじゃなくて。

 見入ってないで、とりあえず帰らなきゃ。そして明日、会ったら絶対今日のお礼を言おう。早く水瀬くんの体調がよくなりますように。そう思った時……。



< 33 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop