告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
今日は登校するのが本当に憂鬱だった。何故なら昨日、何かを言いかけた水瀬くんから脱兎の如く逃げ出してしまったから。
教室までの廊下を、いつもの倍遅いペースでとぼとぼと歩く。そんな私の横を、隣のクラスの女子達が談笑しながら抜き去って行った。
保健室でのあの出来事を思い出すと、それだけで恥ずかしくてたまらなくて、顔に熱が集まる。
あんなに近くでじっと見つめられ、なんというか、思わせぶり?なことまで言われ……。いや、思わせぶりかどうかは、逃げ出してしまったから分からないけど。
でも、今更あの言葉の続きを聞きたいか、問われると、正直聞きたくない。あの時の水瀬くんの、静かな火を灯した私を射抜く瞳、何か言いたげにきゅっと結ばれた薄い唇、私の手首を掴む手のひらの熱、どれを取っても、私の想像を超えていた。
「はぁ……」
水瀬くんはカッコいい、それは誰もが知っている事だけど、迂闊に近付いてしまうと、カッコ良過ぎてダメだ。怖いよ、なにあれ……。彼が恋人になんてなった日には、毎日ドキドキし過ぎて寿命が縮まりそうだ。