告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜




「行こうか……?」
「…………」



 普段、水瀬くんから話題を振ってくれることが多いから、私からどんな話題を振っていいのか分からなくて困る。

 表情が少し豊かになったとはいえ、無表情も健在だから何を考えているか読めないし。バレないように溜息を吐きながら、ホームに続く階段を降りようとすると、突然グッと腕を掴まれた。



「わっ!なにっ?!」
「……このまま帰るの嫌だ」
「はい?何言ってるの?」
「俺、野球以外は得意なのに。高田が余計なこと言うから」
「もしかして、さっきのこと気にしてるの?別に気にしてないよ!」
「……あと、もう少し一緒にいたい」
「え」
「話してたい」



 水瀬くんの言葉に固まる。そして、私の頬が染まるのと同時に、電車がホームに滑り込んでくるのが見えた。

 もうあの電車には乗れない。だったら、もう少しだけなら────。



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