告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜




 私の声は、人のまばらなホームに確かに響く。水瀬くんの耳にもしっかりと届いたようで、線路を眺めていた水瀬くんは大きな目を丸くしてこちらを見た。

 言ってしまった。これって本当に私から聞いていいものなのかな?けど、ずっと疑問を抱えながら水瀬くんと過ごしていくのもモヤモヤするし……。

 けれど、いくら待っても水瀬くんからの答えはない。ただ、じいっとこちらを見つめている。やっぱり、こんなこと聞くのは間違いだったんだよ有菜ちゃん!聞いたくせに恥ずかしくなり赤くなってしまう。



「ご、ごめんっ!今の忘れてっ!」
「……ちょっとごめん。今整理してた、ちゃんと話す」
「へ」
「片山さんが電車から飛び出してきたのを見た時から、多分始まってた」
「えっと、あの倒れてる人を助けた時……?」
「そう。あの時俺、女の人が階段踏み外して倒れ込んだの見て呆然として」
「うん」
「けど、正直自分は離れた場所にいたし、近くの人が助けるだろって思ってた」



 確かに、あの時は水瀬くんだけでなく、ホームにいる人達みんながそんな雰囲気だった。

 だから、私の行動は余計に目立った。



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