告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「うっ」
生温い周りからの視線に気付き、顔に熱が集まっていく。目立ってたんだ!恥ずかしい…!
すると、私に視線を向ける一人の人間が目についた。自分と同じ学校の制服。
──同じクラスの水瀬くんだ……!!
彼は身長が高く、整った顔つきをしているから目立つ。サラリとした黒髪を風に靡かせ、気怠げにズボンのポケットに手を突っ込みながら、大きな猫のような目をこちらに向け、じいっと私を見つめていた。
あぁやだ、もっと顔が赤くなってきた。目立っているのを見られてしまった。恥ずかしい……。
やがて、駅のホームにまた電車のアナウンスが響く。私は視線を上げ、ちらりと水瀬くんを見ると……。
「……まだ見てるっ」
全く隠すことなく、水瀬くんは私を見つめていた。今度は視線を逸らすことが出来ずに、蛇に睨まれた蛙のように耳まで真っ赤になり固まっていると、何故か水瀬くんの表情が緩む。
そして、緩く口角が上がった。
「え?」
思わず気の抜けた声が口から溢れる。すると、何事もなかったかのように滑り込んできた電車の違う車両に、水瀬くんはスルリと乗り込んでいった。
「なに、今の」
また電車に乗りはぐりそうになり、飛び込んだ車内では、心臓が別の意味で早鐘を打っていた。
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