告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「相変わらずだな」
「は、えっ……すみません、誰……?」
「分かんねーの?陸だよ陸。小学校同じで、転校した」
「え」



 ────陸?

 急激に脳内が冷えていく。陸って、待って、あの?



『りんごブス!!』



 私を取り囲み、私の赤面症を揶揄いあだ名をつけいじめた、私の男性不審のきっかけの────?

 ゆっくりと後ずさる。嫌だ、無理だ。あんなに昔のことなのに、未だに鮮明に思い出せる。出来ることなら一生会いたくなかったし、私に気付いても知らないふりをしていて欲しかった。膝が震える。

 いじめっこ、もとい陸くんは、私の顔をじっと見つめた後に吹き出した。




「この前駅で気付いて、一瞬でお前だって分かったわ。顔赤かったから」
「…………」
「……あのさ、話したいことあるから少し人のいない場所……って、オイ!!」



 震える膝に力を入れ、私はその場から駆け出した。

 人のいない場所で話すって何を?また見えない場所で私を揶揄うの?この人のせいで私は赤面症がコンプレックスになったのに、まだ傷付かなきゃいけないの?

 教室に入ればきっと追ってこないはず。後ろで待てとか聞こえるけど、私はひたすら足を動かした。

 けど、教室に着く寸前、真後ろに気配と足音が近付いて……。



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