告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
────グイッ!!
「待てって!!」
「あっ……!」
「何逃げてんだよ!話あるって言ってんだろ!」
「わっ、私は話すことなんてないっ」
「っ……ふざけんなっ」
陸くんは、私の手首を痛いほど掴み、廊下の窓際に追い詰めてきた。
そして、私が口答えしたことで見てわかるほど表情を苛立たせる。この目が苦手だ。私を追い詰めるこの目は、昔から変わらない。
下を向き大きな舌打ちをした後、陸くんは何かを決心したように口を開いた。嫌だ、怖い。
「……俺は、お前に」
「やだ、何も聞きたくない」
「うるせー聞け!!!!」
「いやっ!!」
────もう限界で涙が出そうだった、その時。
私の手首を掴む陸くんの手が叩き落とされ、同時に私は肩を抱かれ壁間際から救い出された。
「お前誰」
私を大きな背中に隠すように立ち、陸くんに冷たく低い声を放ったのは水瀬くんで、私はそれに酷く安心した。
教室前でこれだけ騒いでいたから、出てきてくれたのかもしれない。
陸くんは水瀬くんの登場に一瞬言葉を失っていたが、臆することなく口を開く。
「お前が誰だよ。つうか俺、片山に用事があんだけど」
「ダメ」
「あ?」
「どう見ても嫌がってるだろ。そんな事も分かんねーのか」
「……お前、この前電車で片山と一緒にいた奴」
「この前?」
「なぁ、片山。お前昔から変わらねーよな」