告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜




 陸くんの意地の悪い声が廊下に響く。待って、まさか昔のことを────。



「すぐ顔真っ赤にして、名前もりんごみてーだし、俺があだ名付けてやっただろ?ほらあの『りん────」
「オイ、それ以上喋ったら許さねぇ」



 水瀬くんがりくくんの胸倉を思い切り掴む。遮られたけど、私は彼が何を話そうとしていたか分かっていた。

 なんで?私が何をしたの?

 悔しくて悲しくて、感情がぐるぐる回る。そして、息が徐々に吸えなくなった。ひゅうひゅうと喉から変な音が鳴る。後ろから有菜ちゃんの声が聞こえた。



「凛子!」
「っ、片山さん?……顔、真っ白」
「過呼吸だ……!高田!あんた先生呼んできて!」
「おっ、おう!」



 有菜ちゃんに支えられながらその場に蹲る。水瀬くんもその横に片膝をつき、顔を覗き込んできた。

 涙で歪む視界の隅に、明らかに動揺した陸くんの姿が見えた。あの日と同じ表情だ。あの、私が初めて口答えした。

 私は陸くん目掛け、声を振り絞った。



「だいっきらい……!」



 私の言葉を聞いた陸くんの顔は、酷く歪んでいた。
 




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