告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
「帰らなきゃ……」
「あ、片山さん起きたのね。もう帰れる?」
「はい。もう平気です」
「良かった。友達が迎えにきてくれてるわよ」
「えっ?」
「ずっと心配して待っててくれてるわ」
カーテンから顔を覗かせた先生の後ろから顔を出したのは……。
「凛子!大丈夫?」
「有菜ちゃん、心配掛けてごめんね」
「もう、びっくりしたよ。早く帰ろう!」
有菜ちゃんは教室から鞄を持ってきてくれたらしく、そのまま私はベッドから起き上がり保健室を後にした。
「…………」
「…………」
校舎を出て、校門をくぐっても私たちの間には微妙な沈黙が続いていた。
何から話していいのか分からない。あのタイミングで過呼吸になるなんて、陸くんと昔に何かあったことはきっと察してるはずなのに、有菜ちゃんは聞くことなく黙ったままだ。
今まで過去のことを誰にも話したことがなかった。私にとって、思い出したくもないくらい消したい物だったから。いつか忘れられると思っていたから。
少し気まずい私達が、学校の近くの公園の前を歩いている時だった。少し前を歩いていた有菜ちゃんが、ピタリと立ち止まる。
「凛子」
「な、なに?」
「ごめん限界。やっぱり聞いてもいい?」